

まるバ再び・・・
映画は今、どこにいる?




4月11日(土)
10:30~ 特別上映 70分
12:30~ Aプロ
14:20~ Bプロ
16:10~ Cプロ
18:00~ Dライブ1 30分
18:40~ アフタートーク 100分
※飲食代カンパ 一般千円、学生100円
4月12日(日)
11:00~ Cプロ
13:20~ Aプロ
15:10~ Bプロ
17:00~ Dライブ 2 15分
11日14:20~ Bプログラムと、16:10~ Cプログラムは、予約定員に達しました。他のプログラムをご予約ください。

問い合わせ先 yoshio.takanori@gmail.com
会 場 札幌映像機材博物館
白石区平和通2丁目南1-6
交通機関が良く分かるよ!
料 金 何回に分けて観てもOK!
一般2,500円(web予約2,000円)
学生500円
※作者ご本人は無料。そのご家族は500円。
2026年4月5日18時現在の予約者数 73人
※2日間の総数。各プログラム定員35人に達したものから順次予約を締め切りますので、お早めに!
Aプログラム
※各作者の紹介 吉雄支配人筆
名古屋市立大学 映像研究室/
栗原 康行(映像講師・映画プロデューサー・映像作家)
『Making of filmmaking』26分 デジタル 2023

作者コメント 実際に自主映 画制作の現場で起きたことを素材にして、つくったコメディ映画です。また、ハリウッド撮影の現場で使わ れている映画業界用語をリサーチして物語に採用しました。そういう意味では教育的な映画とも言えるかど うか...。
栗原康行さんは、伊藤隆介さんの東京造形大時代の同級生。 日本の実験映画の先達でイメージ・フォーラム創設者のかわなかのぶひろ先生の門下生です。
まるバありしころは、確 か科学技術庁が持っていたBSチャンネルのプロデューサーとして活躍されていました。まるバ会館を応援したいと、厳 冬期にわざわざ東京からロケ隊を率いて番組取材に駆けつけてくれた思い出があります。また、その頃、伊藤研究室の 卒業生たちが設立したアニメ工房に連続アニメ番組を発注し、放送するなどプロデューサーとして辣腕をふるっておら れました。
名古屋の大学で映像作りを教えるようになってからも、学生チームを引き連れて北海道開拓の村をロケ地に ショートムービーを撮りあげたり、名古屋周辺の地元企業や行政と、学生をコラボさせたドラマ作品を何本も作ってい ます。特徴的なのが、多くのキャストにギャラを支払ってプロのモデルやアイドル志望の女子を起用するなど、学生映 画としては破格のプロダクションバリューの作品が多いことです。
今回、上映に合わせて札幌に遊びに来てくれる熱血 漢の一面も。空手で鍛えた大きな体も相まって、頼れるアニキの一人なのであります。
柏尾 和直(映像作家・京都市立芸術大学非常勤講師)
①『部分と全体♯01(歯みがき男)』1分8秒 デジタル 2006〜12

柏尾和直さんは、札幌市立高 専(現・札幌市立大学)の学生時代に、学校への行き帰りにまるバに顔を出してくれていました。イギリス留学帰りの 同窓生で映像作家の冨田哲司さんと、まるバを使って二人展を開催してくれたのが嬉しかった記憶があります。また、 柏尾さんは「銀の鮭賞」も受賞しています。
②『部分と全体♯02(塵たたき男)』1分30秒 デジタル 2008〜10

卒業後は、京都の大学で後進の指導にあたっておられ、近年は現代美術 家・大竹伸朗さんの記録映像にも取り組まれているのをお見かけします。

篠田 健(会社員)
『父・娘』12分45秒 デジタル 2026
篠田健さん、江藤直樹さん、村田雄一さんの3人は元北大の「バ クタブルフィルム」という映画サークル出身。みなさん今や働き盛りの年代ですが、今回、この上映のために新作や旧 作を出品してくれる予定です。
作者コメント 父。父になった僕と娘。
アラキマサヒト叉あらまん
(根室人)
『僕宛に届いた古き絵葉書』
14分19秒 デジタル 2026

作者コメント 日本最東端の北海道根室市からYouTubeにて発信しております。今回の動画 は作品とは程遠いですが視聴者の方から送られてきた絵葉書から町の歴史を知りえたというものになります。
あらまんことア ラキマサヒトさんは、「ドロップキッカーズ」のユニット名で、かつてまるバ会館が募集していた『銀の鮭賞』で、入 賞されたことがあります。編集と音楽の使い方にキレがあり、新しさを感じた記憶があります。あれから25年、ふる さと・根室に帰ったアラキさんは、〝あらまん〟となり、地元情報を発信するYouTuber=根室人になっていました。今作は、そんなアラキさんの郷土愛が炸裂するニュータイプの北海道讃歌なのだと思います。まるで鮭のよう に!感動です。
山田 勇男
『アウローラの焔』31 分
8ミリ→デジタル 2025

作者コメント マロさんと出会い、互いに兄と妹を題材にした映画を撮ろうと話をして数年、オーロラさん のダンスを見て数年、宮澤賢治の『蠕虫舞手』のイメージを巡り浮かんだ、ひとつの映画詩です。
Aプロのトリは、山田勇男さんの最新作です。しか も8ミリで撮ったものをデジタルで公開する方法で、2月に東京「ラ・カメラ」でも上映されました。近頃、旧作8ミ リの大規模なデジタル化により、ヨーロッパやアメリカでも発見され、評判になっている山田作品です。
山田勇男さん は、北海道長沼町のご出身。寺山修司さんの『田園に死す』や『草迷宮』などの劇映画作品で、美術関連や小道具など のスタッフを務めた後、70年代〜80年代は札幌を拠点に「銀河画報社」のメンバーとして漫画家の故・湊谷夢吉さん や、撮影の麻生榮一さんらと共に活動を続け、近年はヨーロッパに在住しつつも、時々、日本に帰るというライフスタ イルで映画を撮り続けています。
僕が初めてお会いした40数年前と今も変わらぬ風貌で、もはや肩書きを付けるなら “映画の妖精“ともいうべき存在で、北海道で映像に関わるなら、山田作品は一度は観ておきたい我々の大先輩なのです。
Bプログラム
松永芳朗さんも『銀の鮭賞』入賞者。その後、 北海道で映像制作の道に進みました。実は「第2まるバ会館」をやりたいと言って始めたのは彼なのです。世代の近い 大島慶太郎さんたちとタッグを組み、頑張っておりました。(今をトキメク三宅唱監督をどこよりも早く発見し、上映 したのは第2まるバだったりします)
その後もテレビやネットで発表される彼の仕事は、時折、拝見していましたが、 今回、久しぶりに自作を撮ってみると言ってくれて、とても嬉しく思っています。果たして上映の日までに完成するかど うか、固唾を呑んで待っています!
松永 芳朗(カメラマン)
『極東46』20分(予定)
デジタル 2026

作者コメント 25年前、まるバ会館の上映会で、私は『極東21』という作 品で<銀の鮭賞>なるものをいただきました。今回お声がけいただき、「まるバ再び・・・」ということで あれば、続編を制作するしかないのですが、果たしてできるのでしょうか。
小川陽さんは教育大・伊藤研究室の 出身で、本業はグラフィックデザイー。今回の上映会のフライヤーやSNS告知もデザインしてくれています。実は、か つてのまるバ時代も伊藤先生の後継者として、まるバの上映チラシを学生のころからデザインしてくれていました。
2019年に第6回新千歳空港国際アニメーション映画祭・北海道知事賞・受賞。現在は、北海道情報大学でデザインの 授業も持たれています。
小川 陽(グラフィックデザイナー)
『Florere』5分(予定)
デジタル 2026

作者コメント 日々繰り返し積み重ねてきたデジタルスケッチ(ノイズ)の軌跡。
島田英ニさんは、若き日に南カリフォルニア大学で、映画制作を学ばれています。今回の上映作は、恐らくその時に制作したものでしょう。
島田さんは、今や 『札幌国際短編映画祭』のディレクターとして知られ、北海道情報大学・情報メディア学部の教授でもありますが、島 田さんの初々しい作品を目に出来る貴重な機会です。学生時時代の作品といっても、その発想、撮影センス、編集や構 成力は卓抜したものがあり、むしろ現在、制作当時の島田さんと同年代の方々には大いなる刺激になると思います。画 面の力で物語を牽引する力は、僕は不思議と、スピルバーグの学生時代の作品に似た感触を持ちました。
村田 雄一(団体職員)
①『The Arrival』3分3秒
デジタル 2012
作者コメント 当時の最寄駅を題材に、少な い要素で作品にしました。
②『Pied Piper』1分23秒
デジタル 2019
作者コメント 旅先で出会った光景を 基に、音色に誘われるように作った作品です。
高橋研太さんは僕とほぼ同世代ですが、映画会社・松竹の京都映画塾の出身者です。「京都映画塾」は当時、数十年ぶりに松竹が助監督育成を行う と話題となりました。高橋さんは卒塾後も京都に残り、テレビ時代劇の現場などで働いた時期があったと聞いています。
札幌に戻った後はICCに拠点を構えつつ、自身の短編映画を数年おきに制作されていました。毎回、脚本を自ら手がけ、 熟考されるスタイルのため、歩みはゆっくりですが、道内で劇作を続ける貴重な仲間だと思っています。
そんな高橋さ んの待望の新作を今回の上映に出品いただくのは、とても嬉しく楽しみなのです。
根津徹さんは、元北海学 園大映画研究会出身。今回の上映会のために学生時代以来、多分、30年以上ぶりに映画作りに取り組んでいます。
作 者コメント 映画を撮ろう撮ろうと思いながら32年…今回吉雄さんのご招待を受け、クローゼットからカメラ を取り出し電源を入れた時、改めて映画を作ろうと決意しました。自分にはまだ武器が残っている!
加賀城匡貴さんは、今や北海道発の乳幼児番組「ぷうぷうぱっ」(tvh)の制作で大活躍。元々は「スケルツォ」の名でステージ・パフォーマンス・ユニッ トとして活動されてきたのは、ご存知の通りです。しかし、若き日にはイギリスのボーンマス芸術大学・映画&アニメーションコースで学ん だ経験をお持ちなのは、案外知らない方もいるかと思います。
僕との出会いは、芦別市で行っていた大林宣彦監督の 「ふるさとビデオ大賞」への応募・受賞者としてでした。また、拙作『町議・房子の逃走』以来、度々、吉雄作品に出 演もいただいております。
今回、出品の上映作は、加賀城さんが若き日に世界を旅しながら撮っていたフッテージが種 になっているようです。
かつて東京に「イメージリングス」という自主映画上映団体がありました。その中心メンバーのお一人だった のが村上賢司さんです。
『夏に生まれる』(1999)や『森達也の「ドキュメンタリーは嘘をつく」』(2006)など、 フェイクドキュメンタリーやセルフドキュメンタリーの牽引者でもあります。村上さんは、現在、自らの出身母体でも あるイメージフォーラム映像研究所の講師として後進の育成もされています。
まるバは、山田勇男さん&山崎幹夫さん による「ラ・カメラ」と、しまだゆきやすさん&村上賢司さんによる「イメージリングス」に触発されつつ、協力いた だきながら上映作品を選定していました。
今回の村上作品のタイトルは、2011年に早生した、しまだゆきやすさん (イメージリングス代表)の存在を想起してしまい、グッときてしまいました。(現在、村上作品は制作中のため未見。 違ったらゴメン!)
伊藤隆介さんの作品には映像であれ、インスタレーションであれ、「この壊れてしまった世界で、僕たちは生きるしかない」という重低音が鳴り続けている気がします。その壊れ方、狂い方は作品によって様々なのですが、私たちがマトモと信じている日々の営みの中に、その崩壊への兆しが着々と積み重ねられているサスペンスがあります。それが伊藤さんの「映画」です。SF、特撮、漫画、僕たちが浴びるように享受した作品群を引き受け、前に進めたり、現代美術として幅を広げる覚悟を感じるのです。
作品とは別に教育者としての伊藤さんは、実に多くの才能を研究室から羽ばたかせています。その秘密は近くで見ていても僕には解析不能なのですが、一つ言えるのは、決して自分の色を生徒に押しつけない、フェアであることを伊藤さんは美学として貫いています。そして伊藤さん自身が常に作家であり続けようと、水面下でもがき、努力し続けていることを、学生たちはきっと知っているのだと思います。作家とは、そういうものだという潔さこそが、新しい才能を生むエンジンなのだと思います。
山崎幹夫さん は、発明する作家である。
過去40年間、日本の実験映画・個人映画の世界で彼の新作が発表される度、〝今回はそう 来たか〜!〟と、毎回驚きの方法論や語り口の発明に溢れている。極論すれば、山崎作品を観ておけば「映画」の更新 について俯瞰できるという稀有な存在なのだ。実に教育的、映像作家志望の若者には「まずは山崎幹夫作品を観てお け!」と推薦することにしている。
個人的には、山崎さんが北大生時代に高校生だった私達の上映会を観に来てもらっ て以来のお付き合い。まるバをスタートさせたのも、山田勇男&山崎幹夫のお二人が主に東京・下北沢で<ラ・カメラ >という上映活動を長年、続けていた姿を参照しているのです。
島田 英ニ(映画監督・大学教員)
『hands』6分20秒 デジタル 2001



高橋 研太(映画監督・映像制作・塾講師)
『社会貢献』9分(予定)
デジタル 2026

作者コメント 当初は「高邁な テーマ」で制作を始めた作品です!
根津 徹
(団体職員・元北海学園大学 映画研究会)
『マイナス32』2分 デジタル 2026

加賀城 匡貴(アーティスト)
『えいぞうさんぽ』2分20秒
デジタル 2026

作者コメント 空き時間帯を利用して放送されるフィラー番組のようでありたい。
村上 賢司(映画監督・テレビディレクター)
『彼が知り得なかった世界を、生きている。』10分(予定)
デジタル 2026

作者コメント もう届けられないメッセージだからこそ作品にしてみようと思った。
伊藤 隆介(映像作家・みなし公務員)
『情事と政治』8分(予定)
16mm映画 2026

作者コメント 主に35mm映画フィルムから切り出した作品です。物語も削り取られることを望んでいます。
山崎 幹夫(児童クラブ支援員)
『ヴァーミリオンリングの向こうへ』
17分16秒 デジタル 2026

作者コメント 2020年に撮影したまま放置して いたものです。どうしても自分で音楽も作ろうと思っていたのですが、あきらめてインドネシアポップスの 歌手へピー・アスマラの曲を使うことにします。
Cプログラム
山本 敏(映像機材博物館・館長)
『ドキュメントひとり』
20分(予定) デジタル 2026

作者コメント 登別での7年間の日常を淡々と密かに撮っておりました。いわばドキュメントです。PCでの慣れない編集です。
山本敏さんは、札幌で長くCMや企業PRビデオのカメラマンとして活躍されてきました。現在は、ご隠居的に「映像機材博物館」を自費で設立し、運営されています。いわば自分がお世話になった時代の機材たちを、メンテナンスしながら次世代につなごうとされている訳です。元々、この博物館は登別の元パチンコ屋さんに立ち上げられました(写真はその時代のもの)。山本さんの生家の近くでした。流石に札幌から通うのが難しくなり、物件を探して現在の白石に引っ越されたのです。
今回の作品は、そんな登別時代(およそ7年間)の日々を記録した素材をデジタルで編集するようです。アナログ世代の山本さんの初挑戦です。この春は「機材博物館」もリニューアル・再オープンするタイミングとも重なりました。山本さんは展示替えと、慣れないデジタル作業で大変なんだと、どこか嬉しそうです。
さとう ゆか(アニメーション作家)
『zai』2分48秒
デジタル 2025

さとうゆかさんは、教育大・倉重哲二研究室の出身。アニメーションを描くテクスチャーにこだわった作品が印象的な作家でした。また大学院生時代から「EZOFILM」の名で、国内外の他地域との上映活動にも熱心に取り組まれています。2018年、第5回新千歳空港国際アニメーション映画祭・北海道知事賞を受賞。現在は、稚内の大学で教壇に立たれています。勝手ながら「日本最北のアニメーション作家」って、ちょっと格好いいなぁ。
作者コメント 撮影した写真をそのまま印刷できるプリンタ一体型のカメラを手に入れた。撮影された写真は記録されず、撮影時にプリントするか、消去するかのどちらかである。このプリントを1枚ずつ再撮影した。

江藤 直樹(会社員・脚本家)
『俺たちの失敗』13分40秒
デジタル 2026
作者コメント こんなはずじゃなかったよな……と日々ハイボール飲みながら作った作品です。
菊地 玄摩(東京都渋谷区)
『FUNCTOR 002』10分(予定)
デジタル 2026

作者コメント 「装置がその装置自身を表現することであらわれる隙間」に絵文字を書き込む実験です。
菊地玄摩さんとの出会いは強烈でした。
第1回の「銀の鮭賞」の応募作。札幌北高校からの応募。見ると、学生服の少年が何やら公園でウロウロしています。遠くから戦闘機の音がして、あっという間に轟音となり、安普請のまるバは隣のラーメン店さえ驚く大音響に包まれました。画面の空には大きな戦闘機が通り過ぎ、爆発まで起きる始末。今ならありふれたAI合成かと思いますが、25年前、高校生が作ったとは思えぬ合成クォリティー。応募用紙には「デジタルトンデンヘイ」と記されておりました。
授賞式に現れたのは、スマートで知的な作者で二度びっくり! その後、彼は東京の美大に進み、何やらアーチスト活動をしているらしいところまでが、僕の知るところ。
今上映の話を持ちかけると、「東京から上映会行きます! 大島さんがライブやるなら僕もやりたいです!」との返事。OK!じゃあ追加ライブ決定だ。12日の最後に15分の菊池玄摩ライブをつけちゃいます。ライブとは別に、上映作の断片を見ましたが、東京上空をデジタルトンデンヘイが笑いながら襲っているかのようでした。大島慶太郎 VS 東京都渋谷区、ライブ対決の行方は如何に!?

篠田 抄織(主婦兼Webディレクター)
『onda〜波〜』10分55秒
デジタル 2026
篠田抄織さんは教育大伊藤研究室の出身。現在、子育てで忙しい中、久しぶりに映像作りに取り組んでくれています。女性作家が乏しい今回の上映会ですが、果敢な出品に救われました。
作者コメント 映像制作から離れていた期間をありのまま撮った日記映画。

作者コメント ゴダールは死んだ。「映画の自由」はどうなったかな?
出演:鈴枝房子 亀井 健 加賀城匡貴 東 華子
音楽:竹田のりえ
吉雄 孝紀(映画作家・デイレクター)
『この国』16分56秒デジタル 2025
※この項の紹介 伊藤隆介筆
まるバ会館の支配人・吉雄孝紀との出会いは1998年ころになる。停滞していた札幌の映画シーンで定期上映会の必要性を感じていたところ、吉雄氏が脱サラして木村純一さんとまるバ会館を開始したのだった。当時の吉雄氏は、「日本映画史上二番目の若さで劇映画デビューした監督(一番は石井聰亙、現・岳龍)」として全国的に知られており、なるほど、才気走った、喧嘩っぱやい、早熟の映画監督だった。あえて東京に引っ越さない理由、北海道で映像制作の意味を熱弁するのであった。
瞬く間に時は経ち、少年老い易く、容貌はそれなりにくたびれたものの、映画監督はそこにいる。三十年近くのうち、先輩たち、ライバルたち、そして
後輩たち、そして僕自身も継続的な「映画」制作は
暗礁に乗り上げ、5年か10年に1作ほどのペースで(主に自分に対しての)言い訳のように散発する間、北海道では吉雄孝紀のみがドラマ、ドキュメンタリー、ネット動画までを連続して作り続けている。還暦を迎えるそうだが、映像制作の定年の気配は全く見えず、そして十年一日の如く「今度の俺の作品、どう思う?」「今回のは傑作だと思うよ」などと周囲に問う。吉雄氏の古い友人たちよ、「相変わらず」「鬱陶しいなど」と言う勿(なか)れ、この地では彼にこそ「映像作家」という呼称に相応しい。実践しない者に語る権利はない。
吉雄孝紀の作品の主眼は、社会や自身の現状、あるいは将来をめぐる「不安」を空想的(SFやファンタジーという意味ではない。あえて言えば象徴的、予言的なフィクション)に反映したものだ。衝動としては極めて正統的だが、多くの才能が表現の動機をSNSのお気持ち表明に希釈する現在、「映画」という夢(正夢も悪夢もある)と いう視覚化、つまり強度を求める孤軍奮闘、四苦八苦を続けている。
新作『この国』も、一見シネマ・ヴェリテ風に、しかし実は用意周到に洗練された工芸的な手つきで、属する時代への危機意識と、緊張感のある立場の表明を行っている。作品の基調は、我々が日々深めている「孤立」の感覚そのものであり、その取り扱いは正確である。同時に、登場人物たちの出口を求めての右往左往は、内的ビジョンを共有することでしか社会と繋がる術を持てない「映像作家」自身と心象のメタファーでもあり、自分たちの状況と重ね合わせて理解することとなる。

近藤 寛史(映像作家・ディレクター)
①『multiverse 』3分25秒
デジタル 2019
作者コメント 台湾の行き交うバイクを捉え、集団の動きと一人一人の存在を映し出すことを目指した作品です。
近藤寛史さんの学生時代の印象は、ヒップホップなファッションの若者がついに教育大の伊藤研究室にも登場したなというものでした。作品も鉄やコンクリート、サビといった硬質な素材にこだわる男の子感が独自なものでした。現在、東京の映像界で大活躍し、誰よりも華々しいキャリアを重ねている近藤さん。その一方で、ノンプロフィットの自作を撮り重ねているのは薄々聞いてはいました。
今回、改めてその作品群を観て、震えました。もちろんその技術力の高さ、手間暇かけた粘り強さ、何より実験映画の歴史をキチンと踏まえた上で現代の機材や表現方法で、それらを更新しているのです。これはぜひ、スクリーンで上映して、トリップしたいと強く思いました。近藤作品、マジおすすめです。
②『UNDO』19分27秒
デジタル 2024
作者コメント 日本中を血管のように張り巡らされた高速道路を舞台に、決して後戻りできない時間の流れの中で人が下し続ける「選択」を描いています。

Dライブパフォーマンス1
大島慶太郎さんは、現在40代。世代で言えばデジタル第一世代ともいうべき立ち位置だが、アナログの尻尾も垣間見ている。しかも彼の興味は銀塩の粒子やドットの単位にまで遡り、我々が見ている現象は何か?という映画の根本に照準があてられている。近年は『鹿の毛皮は、フィルム(=感光材)である』といった刺激的なプレゼンテーションを美術館で行うなど、硬派で、本格派の〝全身映像〟作家なのだ。
こんな風に紹介すると難解な印象を持たれるかもしれないが、即興音楽とのコラボなどクラブ文化的アプローチにも積極的だし、子供達とのアニメーション共同のワークショップ指導など映画の楽しさの普及にも努力している。今後30年間、「北海道には大島慶太郎さんがいるじゃないか!」と言われる大切な存在なのだ。そんな彼のライブパフォーマンスを目撃する貴重な機会なので、ぜひ体験を!
大島 慶太郎(映像作家)
『Debris remix 上映の実験』
30分 アナログデジタルミックス 2026

作者コメント 異なる媒体に刻まれた光と時間の断片を、上映という行為の中で再構成する。アナログ/デジタルのミクスト映像メディアによる、実験的なパフォーマンス。
Dライブパフォーマンス2
菊地 玄摩(東京都渋谷区)15分
特別上映

※なお、特別上映以外のプログラムをすでにご予約済みの方が、新たに差し替え作品の鑑賞を希望される場合も、再予約の必要はございません。

『月刊まるバドラマ「他人の関係」完結編』
特別上映に関する
お知らせとお詫び
都合により、予定していた『SAPPORO映像短信』70分miniDV2003 が上映できなくなりました。楽しみにしていただいていた方々に深くお詫びします。
なお、差し替え作品として下記の2作を上映させていただきます。
すでに特別上映のご予約をいただいている方は、再予約またはキャンセルの必要はございません。
何卒、そのままご鑑賞いただけたら幸いに存じます。
差し替え作品
1)『月刊まるバドラマ「他人の関係」完結編』29分miniDV→デジタル2001年
2)『DREAM WORLD』33分デジタル2024年
監督:会田咲乃 企画・照明監修:伊藤隆介 脚本・演出監修:吉雄孝紀 ※北海道教育大学岩見沢校・美術文化専攻「特講Ⅱ」で制作したものです。
1)は、まるバ会館に集う観客たちをキャストやスタッフに巻き込み、月に1回撮影していた連続ドラマをまとめた作品です。舞台のほとんどが「まるバ」内なので、当時の雰囲気を知っていただけると思います。
2)は、まるバとは直接は関係ないのですが、身近な人々に出演いただく「自分たちの物語」の最新版です。伊藤&吉雄のコラボの進化形でもあります。また、制作した2年前よりも、現在の国際状況を鑑み、ぜひ今こそご覧いただきたいと感じる作品でもあります。

『DREAM WORLD』

映画は今、
どこにいる?
かつて、「映画」とは、行為だった。
1999年の札幌。「屋台劇場 まるバ会館」なる、インディーズ映画が集う「場」があった。 夏は灼熱、冬は極寒の小屋で、若者たちは国内外の最新の映画群を目撃した。 誰もが鑑賞だけでなく、渾身の作品を持ち込んだ。多くの凝視に耐え、時には祝杯、時には沈黙、議論や罵倒も。作り、観て、語ることが、次の表現を呼ぶ、「映画」とはコミュニケーションだった。
四半世紀が過ぎ、動画の撮影、送配信は、全ての人々の生活習慣だ。 デジタル技術で自由さを得たはずの映像制作は、協調や同調、自己承認のためのツール、プロパガンダ、商業的マインドコントロールなどの尖兵となった。そんな中、「映画」を共有していた彼らが、久々に集う。映画作家? アーティスト? 会社員? 家庭人として?。いや、「映画」を魂に刻印してしまったアクティビストたちが、スクリーンで、再び「今」を語りはじめる。「いいね!」は無用だ。
伊藤 隆介(まるバ広報部長)


↑ フライヤー(JPEG)ダウンロードください。
支配人・吉雄のお役立ち情報!
①札幌映像機材博物館・周辺の駐車場/どうしても車じゃなきゃダメという方は、最寄の駐車場は「タイムズ本通2丁目北第2」が便利だと思います。最大料金1200円(3月現在)

②昼飯の問題/上映時間が長いので、昼食をどうするかというのはあるよね。一応、午前と午後の間の休憩時間は50分を見込んでいます。 が、近くじゃないと不安ですよね。しかも土・日で閉まっているところも多いし。そこで、
1)ザ・ビッグに裏玄関から入店。お弁当コーナーを利用。リーズナブルだよね。会場で食して良いけど周りにご配慮を。
2)タイムズ隣のセブンイレブン。(多分一番近いコンビニ)




3)ラーメン店「白純(パイジャン)」は実際食べた。美味しかった。店主も気さくで、上映チラシも置いてくれた。土日もやっている安心感。量が多い分、少し高め?
4)ラーメン食事処「いちりき」は日曜は定休。
昔ながらのお店で、カツカレーや定食も狙い目か。




5)12号線を渡りカレー「ポカラダイニング」
行ってないので保証はできませんが、Google先生によれば土日もやっているみたい。







6)12号線を渡り「三八飯店」浜チャンポン推しの店。土日もやっているみたいだが、時間帯によって混むかも? こちらも未入店。

